9.恐怖の体験 震度6強


7日午後11時32分 マグネチュード7.4 震度6強の地震に遭遇
寝入りばな、最初の小さな揺れで目が覚めた、大きな音とともに激しく揺れたテントを開けて立とうとするが無理だ、生れてはじめての体験。建物の中だったら、どんなに怖かったか。
半分寝ぼけていたから恐怖も半減していた。

治まると直ぐに大きなスピーカーの声で、「津波が来ますので高台に避難してください」とのアナウンス。
どこから聞こえてくるのか不明だが、とにかく町じゅうに響き渡る大音量。

テントを出ると、田上さんたちも飛び出てた、どうすると聞くと逃げなきゃと二人で自動車に飛び乗った

瞬間、テントに忘れ物はないかと思ったがそれ以上考えるのをやめて、車に飛び乗った。

地理感が無い、何処に行っていいかわからない。
前回、専修大学は津波が来ていない、しかし海抜1.5m、すぐ横には旧北上川の一級河川が通っている。
港まで4.2km、前回は橋の向こうわずか800mまで津波が来ている。
地盤も沈下し、さえぎるものも少なくなっているから、前回よりも確実に奥に到達する。

一瞬に全てが停電し真っ暗の中を、大通りに向かって走る。
その時、東北地方は400万戸が停電していた
ドキドキする、田上さんたちの車は全然見えない、どれだけ速いのか。
道路の陥没などを考えるとスピードは出せない
反町さんは今日帰ったのでいない。

専修大学は町はずれに有る、大通りに出ると、町から一直線に丘に向かって光の列が有る。
渋滞もせず、スムーズにながれている。
さすがみんな慣れていると思ったが、二日後の朝日新聞には
『津波にのまれた人が多かった石巻市では今回も大渋滞が起きた。津波警報が鳴り響く中、あせった車からのクラクションがあちこちで鳴り続けた。「もう間に合わない」とパニックになって車を降りて走り出す人も。「こんなとこ車止めんなよ。まだ津波来ないぞ」と怒号が飛び交い、殺気だった雰囲気だったという。』
と記事になっていた、私はみんな冷静だと感心していた。

とにかく光の列に入り込んだ、高台の公園の駐車場まで数分でたどり着いた、すぐに身動きが取れないほど車でいっぱいになった。テレビを付け状況を把握する。公園の駐車場は人で満ちているのに静まり返っている。
田上さん達に電話をするがかからない、家や友人から安否のメールが入る、大丈夫だと返信する。
電話も逆に遠くの方がまだつながる。
一時間で津波警報が解除になりみんな帰り始めた。

大学の構内に入ると田上さん達の車が有った。
次の日聞くと、大学を出る時に止められたそうだ、道が混雑するから出ないように
と。
後で出た私がなんで止められなかったのかわからない。

そこでもパニックになったらしい
建物から出ろ という叫びと
建物の上にあがれ という声が入り混ざって混乱したらしい

結果的に津波の被害はなかったが、地震の直後から大学構内は潮の匂いで臭かった、
すぐそばの川の奥まで海水が逆流した事は間違いない。

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